日常
それなりの男性と出会って それなりの理由でつきあって それなりの気持ちでデートをした だけど、いつも,それなり,以上の気持ちが生まれないから 自分は冷たい女かもしれないと思っていた
彼女と同じ職場になって日常から退屈が消えた 仕事中、ランチタイム、帰り道、いつも一緒
「つけてあげる」と、ネックレスが鎖骨の上を滑っていく 髪の間から露わになったうなじが引き金になる 一線は案外容易く超えられた 仕事に戻ったあとも、残り火は身体の芯を疼かせる。
終電なくなったなんて嘘 あの時の陶酔が醒めやらず、お互いワインを飲み干す 濡れた唇と甘やかな吐息が火照った肌を波立たせ ふたりの体温はどこまでも溶け合っていった
燃えはじめたこの火は、もう消せない
コメント